Hachi47835014’s diary

学校現場で考えたことを綴ります

学級担任制について~その2~

  前回に続いて、私が「学級担任制の廃止」に賛成の理由を述べていきたいと思います。
 今回述べたい理由は、「学級間の格差をなくすため」です。学年である程度足並みをそろえるとはいっても、やはり学級担任の方針でそれぞれの学級の雰囲気は大きく異なってきます。力量のある担任の学級はまとまりが出てきます。そうでない担任の学級は、「あのクラスは楽しそうでいいな」という思いをもつようになります。「学級担任制」という仕組みがある以上、このような差はあって当然です。そこで、「学級担任がお互いに競争をして力量を高め、その結果、学年、学校全体が向上していけば良い」という考えで運営されています。しかし、この考えでは学級間の格差はなくならないでしょう。なぜなら、全ての学級担任の力量が高い水準でそろうということはないからです。例えば、初めて担任をした教師は、当然その1年は上手くいかないことが多く、そこからの学びを次年度以降に生かしていくことになります。また、家庭の事情などで仕事を優先するのが難しい教師もいます。このような状況では、学級間の格差は生まれるのが当たり前です。「あのクラスはいいな」と思う学級の生徒は1年間どうすれば良いのでしょう。そして、まとまりのある学級の生徒にも問題が起こる可能性があります。それは、次年度に「前のクラスが良かった」「前の担任が良かった」という思いをもち、新しい学級で適応できないことです。力量のあるなしや家庭の事情などに関係なく、全ての教師が全ての学級に入ることが、学級間の格差を生まず、全ての生徒の成長にプラスがあると私は考えます。

学級担任制について~その1~

 東京都の麹町中学校での取り組みが、メディア等で報じられ、話題となっています。私も、前校長の工藤先生の著作を読んだことがあります。麹町中学校の取り組みの1つに「学級担任制の廃止」がありますが、これに私も賛成です。その理由の1つは、1人の担任に最低でも1年間、1つの学級を任せることのリスクが大きいと考えるからです。学級には様々なタイプの生徒がいますが、全員が担任と良好な関係を築けるとは限りません。では、良好な関係を築くことができなかった生徒は1年間どうなるのでしょう。苦しい思いをすることになるのは明白です。また、教員側から考えても、学級の生徒全員と信頼関係を築くのは難しいことです。もちろん、どんな生徒とでも良好な関係を築けるというのは教員にとって必要とされる能力なのでしょうが、人間対人間です。現実には厳しい面があります。教科担任制の中学校でも、学級担任との関わりは多く、生徒にとって、学級担任が誰かというのはとても重要なことだと思います。4月の始業式で学級担任が発表されるとき、生徒が一喜一憂する様子を見れば、それは明らかです。「自分と合わない人との付き合い方を学ぶ機会だ」という考えにも一理あるとは思います。しかし、それにしても最低でも1年間、学級担任として関わっていくのは生徒にとって負担が大きすぎるでしょう。やはり「学級担任」というのは、学級を象徴する存在だからです。学年部の教員が1週間程度のローテーションで、各学級に入っていく。これが、生徒にとっても、教員にとっても無理のない関わり方だと考えます。

教科担任制の意味

 中学校では、授業は教科担任制で行われています。今後は、小学校でも導入されるようです。さて「教科担任制」である以上、その授業の責任者は、もちろん教科を担当している教師ということになります。したがって、どんな状態の学級を担当したとしても、自分の教科の授業で起こることは、基本的に自分の責任であると自覚しましょう。まちがっても、授業が上手くいかないことを学級担任のせいになどしてはいけません。もちろん、学級経営が授業の様子に反映されることはあります。しかし、それを自身の授業が上手くいかないことの理由に使っていては、いつまでたっても高い授業力は身に付きません。原因を自己に求め、技術を磨き、高い授業力を身に付ければ、どんな学級であってもその教科の授業は上手くいきます。さらに、その授業を通して担任の学級経営を援助することもできます。とにかく他のこともそうですが、マイナスの状態の原因を他者(生徒、同僚、保護者など)に求めるのは避けたほうが良いです。もちろん、人間なので愚痴を言いたくなるときもありますが…。私もまだまだ修行中です。

教室環境の整備

 毎朝、生徒が登校する前の教室は、どのような状態になっているでしょうか。きれいに整えてある教室で1日のスタートを迎えられれば、生徒の気持ちも前向きになることでしょう。逆に乱れていれば、心も落ち着かなくなり、さらなる乱れを招く可能性さえあります。どのような教室環境で生徒が過ごすかは、教育活動においてかなり重要だと言えます。
 次の項目を確認して、毎朝、生徒を迎えられるようにしましょう。
  ①黒板がきれいに消されているか。
  ②机の列が整っているか。
  ③ゴミが落ちていないか。
  ④掲示物に破れやはがれはないか。
 ①については、ただ書いてあるものが消されているだけではなく、クリーナーをかけた黒板消しできれいにしておきましょう。また、②を行うことで、1人1人の机の使い方が分かります。落書きがされている場合は、消させなければなりませんし、誰かが書いたものならば、いじめの可能性があります。③については、ゴミの落ち方で学級の様子がつかめます。すぐにゴミが散乱するならば、良い状態の学級とは言えません。また、特定の授業後にそのような状態になるのならば、授業が上手くいっていないことが考えられます。④は、破れたものははがすか、新しいものに貼りかえましょう。もちろん、期限の過ぎた掲示物はすぐにはがしましょう。そして、画鋲がとれていないかまでをチェックすると安心です。荒れている学級は、画鋲もどんどんなくなっていきますから。
 最後にですが、教室環境の整備は経験の浅い担任は必ず毎日完璧に行ったほうが良いです。なぜなら、教室環境の整備は、経験のあるなしに関わりがないことだからです。学級経営について、経験のある担任との差をいかになくしていくのか。それを考えれば、こういったことを地道に行っていくしかありません。学級経営で悩んでいるならば、まずは教室環境の整備から始めましょう。

定期テストの不正行為

 「テスト」というと今も昔も不正行為、いわゆるカンニングに注意を払わなければいけません。まず、不正行為は「誰でもする可能性がある」ということを頭の中に入れておきましょう。成績が良い生徒は不正行為などしないのではないかというとそうでもありません。周囲の人(特に保護者)から良い点数をとるのが当たり前と思われているという重圧から、行ってしまうことが考えられます。不正行為は「良い点数をとりたい」という人としては、プラスの感情から行うものです。そのため、これまでの成績、学校生活がどうであれ、全ての生徒に注意を向ける必要があります。また、不正行為は「1度してしまうと繰り返し行う」傾向があるように思います。その理由はおそらく様々で、全ては分かりません。しかし、私の考える理由の1つとしては、初めて不正行為をしたときは「今回のテストだけだから…」という気持ちが本人にあったとしても、1度したことで、その後の自分の解答に自信がもてなくなり、安心を得るために繰り返してしまうのではないかというものがあります。
 以上のことから、生徒に「1度でも不正行為をさせことは絶対にあってはならない」という気持ちでテストを迎える必要があります。具体的に次のことを行いましょう。まずは、生徒に「不正行為は信頼を失う愚かな行為である」としっかり話をしておきましょう。「テストの点数が良くなかったとしても、私は絶対に責めたりしない」などの言葉を付け加えるのも良いと思います。そして、正しいテストの受け方を徹底させましょう。机の上や中がどういう状態でなければいけないのか。どこからどこまでが口を開いてはいけないのか。事前に時間をとって説明することはもちろんですが、毎時間テストを配布する前にも、「机の上や中の状態は大丈夫ですか」などと簡単で良いので、こちらの「厳正に行う」という姿勢を見せ続けるのです。そして、テスト監督中は、生徒の様子を常に見て、採点などの業務を行わないようにしましょう。時間を見つけて少しでも採点をしたい気持ちはよく分かります。しかし、もし自分の監督中に不正行為があった場合、生徒にとって大きなマイナスになるのはもちろんですが、監督者もその生徒の指導などで時間をとられます。また、監督に専念していなかったとなれば、同僚からの信頼も失うことになるでしょう。

学級経営で大切なこと

 学級経営で大切なことは何だろうと考えたときに、現時点で真っ先に思い浮かぶのは「どんな生徒を育てたいかが明確である」ということです。私が考えるここでのポイントは「学級」ではなく「生徒」であるということです。今よりも経験が浅かった頃、私は「学級崩壊をさせたくない」「明るくて楽しいクラスにしたい」といったことを中心に考えていました。
 しかし、1年間を通して育てたいのはあくまで生徒個人であり、学級という集団ではありません。学級という集団のなかで、どのような生徒をどのような方法で育てていくのかが、最も大切であると考えます。中学校での学級は1年、あるいは長くても3年で解散です。その後、新しい環境で生徒1人1人がたくましく生きていけるようにするのが教師の役目です。学級という集団の力を使って、生徒個人を育てるのです。